饗宴外交の舞台裏
饗宴外交の舞台裏(178)

退位表明直前のローマ法王が神学生たちと共にした夕食会

西川恵
執筆者:西川恵 2013年3月13日
カテゴリ: 国際 金融
エリア: ヨーロッパ
 神学校で食事をしたベネディクト16世(谷口神父提供)
神学校で食事をしたベネディクト16世(谷口神父提供)

 ローマ法王は身内としか食事を共にしない。身内とはバチカン(ローマ法王庁)の枢機卿、教会の神父、神学生といったカトリックの関係者である。毎年、数多くの国の首脳が拝謁に訪れ、新任の大使が信任状を奉呈するが、法王がそのために饗宴を開くことはない。

 また逆に法王が外国を公式訪問しても、その国の首脳主催の歓迎式典でシャンパンのグラスを手にすることはあれ、食事のもてなしを受けることはない。世俗世界の人とはテーブルを囲まないのが法王の鉄則だ。

 退位したベネディクト16世の後任の法王を選ぶコンクラーベ(法王選挙会)が3月12日からバチカンで始まったが、そのベネディクト16世が退位を表明する3日前の2月8日、神学校で神学生らと夕食を共にしたことを知った。夕食会に出席した友人の谷口幸紀神父が教えてくれた。

 

ヘリコプターで登場したベネディクト16世

 ローマ市内には神学校が4校あるが、ベネディクト16世が訪れたのはコレジオ・レデンプトーリス・マーテル神学院。警備は厳重で、神学生たちは事前に金属探知機で検査を受け、要所には何人もの警護員が張りついた。バチカンと神学院はテベレ川を挟んで3キロ足らずだが、法王はヘリコプターでやって来た。

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執筆者プロフィール
西川恵
西川恵 毎日新聞客員編集委員。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、論説委員を経て、今年3月まで専門編集委員。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、本誌連載から生れた『ワインと外交』(新潮新書)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。本誌連載に加筆した最新刊『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)が発売中。
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