3.11から3年(上)トイレと姥捨て山――    見えてきた“福島”の行方

執筆者:吉野源太郎 2014年3月11日
エリア: 日本
 当初の除染作業は自衛隊の協力もあったが……(福島県飯舘村) (C)時事
当初の除染作業は自衛隊の協力もあったが……(福島県飯舘村) (C)時事

 今年も3月11日が巡ってきた。

 まちがいなく日本戦後史のエポックになるであろう東京電力福島第1原子力発電所の事故は、3年たった今も依然として、詳細も全容も多くが霧に包まれている。しかし、この間にもいくつかの事柄が明らかになった。それらは既成事実として福島と日本の進路を決めようとしている。福島は復興のかけ声とは裏腹に、老人しか住まない「姥捨て山」になり、その寂しい土地の近くに「核のゴミ捨て場」が造られる。日本と日本人は福島のゴミ捨て場を踏み台にして、なおも成り上がろうとする。誰も口に出しては言わないが、誰もが知っている道。それは、しかし日本が三流国へと転落する道である。

 

「暗い過去」の象徴

 福島の取材は疲れる仕事だ。普通、取材先との距離感は、通い慣れるほどに縮まり、気安い関係になる。しかし、福島だけは逆だ。

 親しい取材相手であるほど会話は深刻になり、内容は重くなる。訪ねるたびに福島の環境が悪化しているからだ。この3年間、若者を中心に人口の流出に歯止めがかからず、産業はますます衰退していく。特に海岸の原発立地地域に近い「浜通り」の市町村は平日の昼間も人通りがまばらで、道を尋ねるのにも苦労する。

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執筆者プロフィール
吉野源太郎 ジャーナリスト、日本経済研究センター客員研究員。1943年生れ。東京大学文学部卒。67年日本経済新聞社入社。日経ビジネス副編集長、日経流通新聞編集長、編集局次長などを経て95年より論説委員。2006年3月より現職。デフレ経済の到来や道路公団改革の不充分さなどを的確に予言・指摘してきた。『西武事件』(日本経済新聞社)など著書多数。
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