エルドアン首相はトルコの「中興の祖」となれるか

池内恵
執筆者:池内恵 2014年3月19日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: ヨーロッパ 中東

 トルコ全土で3月30日に投票が行われる、各都市の市長を選出する統一地方選挙は、エルドアン政権の命運を分ける重要な意味を持つようになってきた。やや劇的に表現すれば、エルドアン首相が、建国の祖ケマル・アタチュルクに続く「トルコ共和国中興の祖」となれるか否かは、この選挙にかかっているといってもよい。

エルドアン首相への逆風

 もちろん地方の首長選挙そのものがエルドアン首相の政権運営に直接影響を与えるわけではない。しかし今回の選挙は、国民のエルドアン政権への支持が実際にどれだけあるのかを計る、バロメーターとしての意義を日増しに高めている。そしてまさに今、エルドアン首相は国民が投票で現政権に明確な支持を表明することを必要としているのである。

 2002年の、穏健派イスラーム主義政党の公正発展党(AK Party)による政権獲得以来、強い指導力でトルコの経済発展を支え、国際的地位の向上に成果を挙げてきたエルドアン首相だが、昨年5月末に始まったイスタンブールのタクシム広場に隣接するゲジ公園に発した大規模デモや、昨年12月以来続く政権幹部とその子弟の汚職の発覚、そして新興国経済の先行きが不安視され資本流出が危惧される経済状況といった、さまざまな逆風に晒されている。

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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