STAP論文「なぜ」を問わずに組織防衛に走る「理研」(下)

執筆者:塩谷喜雄 2014年3月30日
カテゴリ: サイエンス 国際 社会
エリア: 北米 日本
 トカゲの尻尾切りでは再生できない(野依理事長) (C)時事
トカゲの尻尾切りでは再生できない(野依理事長) (C)時事

「過去数百年にわたる細胞生物学の歴史を愚弄するもの」―― 。

 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター のグループが、STAP細胞に関する論文を最初に 英科学誌『Nature』に投稿した際、レフェリーはこんなコメントを付けて、掲載を却下した。 小保方晴子ユニットリーダーが自ら、記者会見で披露したこのコメントこそ、混迷・混濁するSTAP騒動を正しく読み解くカギといえる。

 STAP細胞について、日本のメディアは、再生医療への応用だけを異様にクローズアップした。発生と分化に関する生物学の常識を覆す驚天動地の大発見、という基礎科学上の意義については、過小評価というよりも、ほとんど無視してきた。これは、日本の科学風土に深く沁みついた「応用の罠」の典型例であり、今回の騒動を生んだ構造的要因でもある。

 発表者自身、STAP細胞の科学的な意味合い、生物学上の「定説」の大転換については、ほとんど触れず、説明もしていない。今年1月末に理研がセットした成果発表の記者会見でも、STAPは比較的簡単に作れる万能細胞で、ほとんどの臓器、組織を生み出せるので、再生医療の切り札になりうると、応用の夢だけが繰り返し、繰り返し強調された。

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執筆者プロフィール
塩谷喜雄 科学ジャーナリスト。1946年生れ。東北大学理学部卒業後、71年日本経済新聞社入社。科学技術部次長などを経て、97年より論説委員。コラム「春秋」「中外時評」などを担当した。2010年9月退社。
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