饗宴外交の舞台裏
饗宴外交の舞台裏(192)

頑なに「国賓演出」を避けたオバマ大統領の深謀遠慮

西川恵
執筆者:西川恵 2014年5月15日
 「日韓」双方に配慮した歴訪だった (C)AFP=時事
「日韓」双方に配慮した歴訪だった (C)AFP=時事

 その政治・外交上の成果は横に置き、オバマ大統領の日本訪問は外交儀礼(プロトコル)の点から見ると不思議な訪問だった。国賓で日本が迎えようというのに、オバマ大統領はなるべくそう見せないように行動した。米国側にはどういう事情があったのだろう。

 オバマ大統領の国賓での訪日には、発表当初から両国の微妙な食い違いが目に付いた。日本側が「国賓での訪問」と発表したのに対し、米側は「国賓にするかどうかは日本側が決めること」とクールに反応した。

 滞在日数も韓国がソウルへの立ち寄りを強く求めたこともあって、米国は「1泊2日」に拘った。国賓は滞在中さまざまな行事が入るため最低2泊3日が必要だ。しかし米国の変わらぬ姿勢に、日本側は渋々ながら「1泊2日でも可能」と応じた。しかし水面下では変更を働き続け、ケネディ駐日大使のオバマ大統領への直訴で「2泊3日」に落ち着いた。この経緯を見ても大統領は国賓となることに積極的ではなかった。

 

異例だった胡錦濤の訪米

 大統領は4月23日夜に来日し、25日に離日したが、滞在中も国賓らしからぬ行動が目に付いた。まず国賓の宿舎である元赤坂の迎賓館に宿泊せず、ホテルオークラを宿舎にした。同ホテルは米大使館前にあって便利なことは間違いない。しかし国賓が迎賓館に泊まらないのはこれまであまり例がない。

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執筆者プロフィール
西川恵
西川恵 毎日新聞客員編集委員。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、論説委員を経て、今年3月まで専門編集委員。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、本誌連載から生れた『ワインと外交』(新潮新書)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。本誌連載に加筆した最新刊『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)が発売中。
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