国家戦略特区指定で「改革の実験場」となった養父市の試み

磯山友幸
執筆者:磯山友幸 2014年6月19日
エリア: 日本
 養父市の美しい棚田(筆者撮影)
養父市の美しい棚田(筆者撮影)

 兵庫県養父(やぶ)市。京都から特急で2時間、もう少しで日本海側に抜ける中山間地に広がる。山陰に抜ける古くからの街道筋で、かつては鉱山や林業、農業で栄えたが、今は人口減少が止まらない。2004年に旧養父郡の八鹿(ようか)町、養父町、大屋町、関宮町が合併して誕生した時は3万人の住民がいたが、10年たった今は2万5700人にまで落ち込んだ。高齢化も激しい。市域の84%が山林で、谷筋に沿って水田が広がる。山の奥まで作られてきた棚田でのコメ作りは重労働で、年を追うごとに休耕田や耕作放棄地が増えていく。日本の農業の1つの典型である中山間地農業が直面する「限界」がみえる象徴的な場所である。

 そんな養父市が今年3月末、国家戦略特区に指定された。安倍晋三内閣が「規制改革の突破口」と位置付けたもので、東京圏、関西圏、新潟市、福岡市、沖縄県と養父市の6カ所が選ばれた。養父市は新潟市と共に、農業分野の改革拠点という位置づけで、特に養父の場合、中山間地農業の生き残りを模索する改革拠点とされている。

 

現代の「楽市楽座」に

 全国にいくらでもある中山間地の農業地帯の中で、なぜ養父が選ばれたのか。

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執筆者プロフィール
磯山友幸
磯山友幸 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト。著書に『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)などがある。
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