兵庫県養父(やぶ)市。京都から特急で2時間、もう少しで日本海側に抜ける中山間地に広がる。山陰に抜ける古くからの街道筋で、かつては鉱山や林業、農業で栄えたが、今は人口減少が止まらない。2004年に旧養父郡の八鹿(ようか)町、養父町、大屋町、関宮町が合併して誕生した時は3万人の住民がいたが、10年たった今は2万5700人にまで落ち込んだ。高齢化も激しい。市域の84%が山林で、谷筋に沿って水田が広がる。山の奥まで作られてきた棚田でのコメ作りは重労働で、年を追うごとに休耕田や耕作放棄地が増えていく。日本の農業の1つの典型である中山間地農業が直面する「限界」がみえる象徴的な場所である。
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