「クルド独立」を口にしたバルザーニー大統領

池内恵
執筆者:池内恵 2014年6月24日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 中東

イラク北部3県でクルド人勢力の自治を行っているクルディスターン地域政府のマスウード・バルザーニー大統領が、6月23日、ついに「独立」の一言を口にした。

米CNNのクリスチャン・アマンプールによるインタビューに答えての発言で、観測気球の側面もあるだろうが、世界に向けて大々的に発言したことの意味は大きい。

「イラクは明らかに崩壊しようとしている」

「連邦政府・中央政府は何もかもコントロールを失っている。軍も治安部隊も警察もすべて崩壊している」

「我々がイラクを崩壊させたのではない。他の者たちが崩壊させたのだ」

「クルディスターンの人々が未来を決める時が来た」

等々、発言は明確である。

バルザーニーはイラク憲法の規定に従ってクルド地域で国民投票を行い、独立の意志を諮るつもりであるとまで明言した。

独立の危険な賭け

独立はクルド人の悲願である。第一次世界大戦後のオスマン帝国の崩壊で、中東の主要な民族で独立国家を与えられなかったのがクルド人だった。トルコ人、イラン人はそれまでの帝国の版図を失いながらも国を維持し、アラブ人は新たに細切れの国を与えられた。アルメニア人も国を得た。遅れて第二次世界大戦後にはユダヤ人もイスラエルを建国した。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
comment:1
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順