国際論壇レビュー
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【真説】「集団的自衛権」を世界はどう受け取ったか

会田弘継

 世界が地殻変動を起こし、そのきしみが聞こえる。そんな気がするひと月であった。ウクライナ東部上空でのマレーシア機撃墜事件、イスラエル軍のガザ侵攻、中国・ロシアによる「新開発銀行」設立合意……。それらに手をこまねき、確たる態度を示せないオバマ大統領のアメリカ。

 そんな状況の中で、着々と「普通の国」を目指して歩む安倍晋三首相の日本に、世界は当然注目した。7月1日に安倍首相が発表した集団的自衛権行使を容認する憲法9条解釈変更の閣議決定。米政府はただちに歓迎の意を示した。ヘーゲル国防長官は「日本が地域と世界の平和と安定に一層の貢献をしていくうえで、重要な一歩となる決定だ」との声明を発表している。【Statement by Secretary of Defense Chuck Hagel on Japan’s Collective Self-Defense Decision, July 1

 ただ、米メディアの論説などが伝える反応のニュアンスには目を留めておいた方がいい。保守系のオピニオンを代表する『ウォールストリート・ジャーナル』の社説はもちろん「安倍首相が日本を、アジアで指導的役割を果たせる普通の国へと変えようと努めていることは賞賛に値する」と歓迎した。中国の軍拡に対し「民主主義国連合」(a coalition of democracies)で立ち向かうことが重要だと強調。「対中国同盟強化」を訴える。【Tokyo steps into Asia’s security breach to conter China, The Wall Street Journal, July 5

執筆者プロフィール
会田弘継
会田弘継 青山学院大学地球社会共生学部教授、共同通信客員論説委員。1951年生れ。東京外国語大学英米科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを歴任。2015年4月より現職。著書に本誌連載をまとめた『追跡・アメリカの思想家たち』(新潮選書)、『戦争を始めるのは誰か』(講談社現代新書)、訳書にフランシス・フクヤマ『アメリカの終わり』(講談社)などがある。
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