「人手不足」と外国人 (2)

「人手不足」と外国人(2)「介護人材」の「国際的獲得競争」が始まった

執筆者:出井康博 2014年9月22日
エリア: ヨーロッパ アジア

「日本で介護福祉士の国家試験に合格すれば、米国で就労ビザが取れる」

 経済連携協定(EPA)に基づき来日し、日本で働くフィリピン人介護士たちの間で今、そんな噂が流れている。

 介護福祉士の資格を取れば、彼らは日本で無期限に働くことができる。だが、国家試験に合格しても、日本を離れて他の国で働こうと考える外国人介護士もいる。事実、前回の連載(9月9日「『介護士・看護師の受け入れ』はなぜ失敗したのか」)でも触れたように、国家試験に合格しても母国へ帰国する人材は相次いでいる。「米国で就労ビザが取れる」という噂は根拠に乏しいが、こうした噂が流れるのも日本での仕事に魅力がない証である。

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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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