「福島県知事選」に声は届くか――山も海も「難題山積」の被災地

執筆者:寺島英弥 2014年10月23日
タグ: 安倍晋三
エリア: アジア

 2011年3月の福島第1原発事故の後、初めての福島県知事選が10月9日に告示された(26日投開票)。現職知事は今任期限りで引退し、6人の新人候補者は福島第1・第2原発の「全基廃炉」と被災地の復興を掲げ、今なお12万7000人に上る避難者(うち県外に約4万6000人)の救済、子どもの健康管理への取り組み、国内での再稼働反対などをそれぞれ訴える。自民党が選挙戦敗北を避け、現職知事の後継候補支援で民主、公明、社民と相乗り。「県民党」の旗の下で原発事故をめぐる争点は沈み、被災地住民には選択肢と変化への期待が乏しい選挙となった。事故から3年7カ月が過ぎた同県浜通りの被災地では、再生の歩みが各地で壁に突き当たり、新たな難題山積が希望を揺るがす。苦闘する住民の声は候補者に届いているのか。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
寺島英弥(てらしまひでや) ローカルジャーナリスト、尚絅学院大客員教授。1957年福島県相馬市生れ。早稲田大学法学部卒。『河北新報』で「こころの伏流水 北の祈り」(新聞協会賞)、「オリザの環」(同)などの連載に携わり、東日本大震災、福島第1原発事故を取材。フルブライト奨学生として米デューク大に留学。主著に『シビック・ジャーナリズムの挑戦 コミュニティとつながる米国の地方紙』(日本評論社)、『海よ里よ、いつの日に還る』(明石書店)『東日本大震災 何も終わらない福島の5年 飯舘・南相馬から』『福島第1原発事故7年 避難指示解除後を生きる』(同)、『二・二六事件 引き裂かれた刻を越えて――青年将校・対馬勝雄と妹たま 単行本 – 2021/10/12』(ヘウレーカ)、『東日本大震災 遺族たちの終わらぬ旅 亡きわが子よ 悲傷もまた愛』(荒蝦夷)、3.11以降、被災地で「人間」の記録を綴ったブログ「余震の中で新聞を作る」を書き続けた。ホームページ「人と人をつなぐラボ」http://terashimahideya.com/
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