「遺伝子検査」で危惧される「差別」「プライバシー」の問題

大西睦子
 日本でもようやくサービスが始まったが……(C)時事
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 私たちの大切な遺伝子情報は、半分は父親から、残りの半分は母親から受け継いだもので、生涯変わることはありません。そしてその情報は子どもに受け継がれます。その遺伝子情報には、将来に発症する可能性のある病気のリスクが隠されています。最近、遺伝子検査により、個人の遺伝子情報に基づいて病気の予防や早期発見、治療が可能となってきました。2013年、ハリウッドの人気女優アンジェリーナ・ジョリー(39)がこの検査を受け、将来の乳がん予防のために乳房切除手術を受けたというニュースは世界中に流れたため、記憶している人も多いでしょう。

 ところが、この新しい検査の普及に伴って、米国では目下、科学雑誌などを通じてメディアや専門家による様々な問題点の議論が繰り広げられています。今回は、その中でも深刻な問題の1つ、「差別化とプライバシー」について考えたいと思います。

 

「個別化」に潜む「差別化」

 遺伝子検査によって、1人ひとりの体質にあった「個別化医療(personalized medicine)=オーダーメイド医療」の実現が期待されています。ところが、その「個別化」の裏には、実は「差別化」という問題が潜んでいます。米国では昔から様々な差別が問題になっていますが、最近、新しいタイプの差別、つまり遺伝子差別が大きな社会問題になっているのです。

執筆者プロフィール
大西睦子
大西睦子 内科医師、米国ボストン在住、医学博士。1970年、愛知県生まれ。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月からボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月から2013年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度受賞。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。『「カロリーゼロ」はかえって太る!』(講談社+α新書)。『健康でいたければ「それ」は食べるな』(朝日新聞出版)などがある。
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