「イスラム国」への空爆を「歓迎」するロシアの深謀遠慮

 ウクライナ紛争で険悪化する一方の米露関係で、数少ない協力分野が対テロ対策だろう。プーチン政権は、イスラム過激派組織「イスラム国」に加わるチェチェン人らロシア国籍の過激派が帰国してテロを行うことを警戒し、内心は米国の限定空爆を支持している。だが、チェチェン人が次第に「イスラム国」から帰国しつつあるとの情報もあり、ロシアにとっては不気味だ。

 

ロシア国籍の1700人参画

 オバマ米大統領が主催してワシントンで2月18、19日行われた「過激派対策サミット」に、プーチン大統領側近のボロトニコフ連邦保安局(FSB)長官が出席した。対ウクライナ秘密工作の責任者とされる同長官は、欧州連合(EU)の入国禁止リストに入っているが、米国のリストには含まれていない。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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