「人手不足」と外国人(7)「曽野発言」への違和感:日本は「夢の国」ではない

出井康博
執筆者:出井康博 2015年2月27日
エリア: 日本

 曽野綾子氏の産經新聞コラム「労働力不足と移民」(2015年2月11日)が論議を呼んでいる。アパルトヘイト(人種隔離)を擁護する表現があったとして、南アフリカ政府も大使館を通じて抗議した。

 私はフォーサイト誌で「2010年の開国 外国人労働者の現実と未来」の連載を始めた2007年以来、外国人が働く現場を回り続けてきた。「移民」や「外国人労働者」といったテーマは、なかなか身近な問題とは考えにくい。とはいえ、欧米諸国を見ても、やがては国論を二分する問題になることは間違いない。そんな思いから、本サイトでも引き続き同じテーマを追っている。

 曽野氏にはまず、議論のきっかけをつくってくれたことに感謝したい。アパルトヘイトの擁護問題に関しては、彼女の意見がどうであれ、人種隔離政策が日本で実現するはずもない。それよりも私が気になったのは、外国人労働者に対する曽野氏の根本的な「勘違い」だ。

 コラムを読む限り、曽野氏は「国を開けば、いくらでも外国人は日本にやってくる」との前提で話を進めている。その前提は曽野氏に限らず、移民の受け入れ賛成派、反対派ともに共通する。だが、それは大きな思い違いだ。この連載でも繰り返し述べてきたように、アジア諸国の若者にとって日本は、もはや「夢の国」ではないのである。

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執筆者プロフィール
出井康博
出井康博 1965年岡山県生れ。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『THE NIKKEI WEEKLY』記者を経てフリージャーナリストに。月刊誌、週刊誌などで旺盛な執筆活動を行なう。主著に、政界の一大勢力となったグループの本質に迫った『松下政経塾とは何か』(新潮新書)、『年金夫婦の海外移住』(小学館)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社+α文庫)、本誌連載に大幅加筆した『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『民主党代議士の作られ方』(新潮新書)がある。最新刊は『襤褸(らんる)の旗 松下政経塾の研究』(飛鳥新社)。
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