「遊民経済学」への招待 (6)

「中国人爆買い」とどう向き合うべきか

執筆者:吉崎達彦 2015年6月13日
エリア: 北米 アジア

 今回は当連載にはめずらしく、経済データの話から始めてみたい。
 5月末に、米国経済の2015年第1四半期GDP(国内総生産)の2次速報が発表された。1次速報では年率+0.2%成長とされていたものが、▲0.7%成長へと下方修正された。株価や雇用統計などを見る限り、米国経済は絶好調ということになっているのだが、今年最初の四半期はマイナス成長ということになった。

米国経済のGDP成長率

 今年も厳冬だったことに加え、西海岸の港湾ストの影響が大きかったという解説がなされている。筆者は米国経済を見るときは、「全体が悪くても、個人消費の寄与度が1%程度の伸びを維持していれば大丈夫」と考えているので、中身的には問題はないと判断している。とはいえマイナス成長と聞くと、どこかに死角があるように思えて正直気持ちが悪い。
よくよく見ると、米国経済はこのところ1-3月期の数値が悪く出る。過去5年間で、マイナス成長になった四半期はすべて1-3月期である。2011年からの5年間で「2勝3敗」だ。エコノミストの間からは、「季節調整がうまく行っていないのではないか」との指摘もある。では、1-3月期の季節調整がうまく行かない理由とはなんなのだろう。

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執筆者プロフィール
吉崎達彦(よしざきたつひこ) 双日総合研究所チーフエコノミスト。1960年(昭和35年)富山市生まれ。一橋大学社会学部卒業後、1984年日商岩井(現双日)に入社。米国ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会調査役などを経て現職。新聞・経済誌・週刊誌等への執筆の他、「サンデープロジェクト」等TVでも活躍。また、自身のホームページ「溜池通信」では、アメリカを中心に世界の政治経済について鋭く分析したレポートを配信中。著書に『溜池通信 いかにもこれが経済』(日本経済新聞出版社)、『1985年』(新潮新書)など、共著に『ヤバい日本経済』(東洋経済新報社)がある。
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