「遊民経済学」への招待
「遊民経済学」への招待(26)

伊能忠敬から学べること、学べないこと

吉崎達彦

 太平洋戦争が終わった直後に出生率が上昇し、結果として誕生したのが「団塊の世代」である。同じような現象はアメリカでも見られる。欧州戦線では戦争終結が少し早かったから、アメリカにおけるベビーブームは日本より早く1946年から始まっている。
 この1946年生まれからは、既にビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュという2人の大統領が誕生している。2人で合わせて実に16年もアメリカを統治してきたわけである。さらに今年は、もう1人の46年生まれが大統領を目指している。と言うと、ヒラリー・クリントンのことだと思う人が多いだろうが、彼女は夫のビルよりも1歳若い1947年生まれである。1946年生まれの第3の男とは、ドナルド・トランプのことである。いやもう、アメリカ版「団塊の世代」の元気さには深く敬服するほかはない。
 1946年生まれには、ほかにも映画監督のスティーブン・スピルバーグ、俳優のシルベスター・スタローン、FRB(連邦準備制度理事会)のジャネット・イエレン議長など、多士済々で賑やかな顔ぶれが並ぶ。ひとつ下の1947年生まれにも、前カリフォルニア州知事で現俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーや作家のスティーブン・キングなどがいる。とはいうものの、歌手のデビッド・ボウイや作家のトム・クランシーはもう死んでしまっている。元気な人もいれば、そうでない人もいるというのが世の常である。
 ついでながら、米大統領選挙についてこんな心配をする人がいる。
「ヒラリー・クリントンが当選すると、2017年1月の大統領就任式時点で69歳になっている。これはレーガン大統領と同じで、果たして2期8年の激務が務まるだろうか?」
 これに対する模範回答が2通りある。ひとつは「1980年代の70代と、今の70代を比べるべきではない」、もうひとつは「男に比べれば、女の方がはるかに長生きである」。――いいんじゃないですか、クリントン大統領。少なくともトランプ大統領よりは。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
吉崎達彦
吉崎達彦 双日総合研究所チーフエコノミスト。1960年(昭和35年)富山市生まれ。一橋大学社会学部卒業後、1984年日商岩井(現双日)に入社。米国ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会調査役などを経て現職。新聞・経済誌・週刊誌等への執筆の他、「サンデープロジェクト」等TVでも活躍。また、自身のホームページ「溜池通信」では、アメリカを中心に世界の政治経済について鋭く分析したレポートを配信中。著書に『溜池通信 いかにもこれが経済』(日本経済新聞出版社)、『1985年』(新潮新書)など、共著に『ヤバい日本経済』(東洋経済新報社)がある。
comment:3
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順