文民統制と「政治家の資質」

林吉永
執筆者:林吉永 2015年7月6日
エリア: 日本

 国の防衛・安全保障に関わる文民統制の概念は、文民の政治が軍事に優先すること、言い換えれば政治家が軍隊を統制することである。
 自衛官は、最高指揮官である内閣総理大臣の指揮を受け、自衛隊の各級部隊において行動する。しかし、内閣総理大臣であっても好き勝手に自衛隊を動かせるわけではない。国民の負託を受け、期待に応えるという大原則を貫くために国会の承認を得なければならない。
 国会承認は、政治家が武力集団である自衛隊の行動を統制することにつながる。よって、政治家もまた国民の負託を受けて文民統制を適正に行う責任を有する。従って政治家には、国の命運を左右する事態、および国民の生命財産を損なう事態に対応できる知見に裏づけされた識見、責任感、使命感などに優れた資質が求められる。
 ところが、大臣、副大臣、政務官は、得手不得手に関わらず単に当選何回の条件で任命されるといった傾向もあるから、適任者が就かない場合もある。しかしながら政治家には、国の政治、外交、防衛、経済、教育など政府が所掌する全分野に理解力、判断力、指導力が求められる。言い換えれば、政治家は抜きん出たジェネラリストたるべしということでもある。

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執筆者プロフィール
林吉永
林吉永 はやし・よしなが NPO国際地政学研究所理事、軍事史学者。1942年神奈川県生れ。65年防衛大卒、米国空軍大学留学、航空幕僚監部総務課長などを経て、航空自衛隊北部航空警戒管制団司令、第7航空団司令、幹部候補生学校長を歴任、退官後2007年まで防衛研究所戦史部長。日本戦略研究フォーラム常務理事を経て、2011年9月国際地政学研究所を発起設立。政府調査業務の執筆編集、シンポジウムの企画運営、海外研究所との協同セミナーの企画運営などを行っている。
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