「遊民経済学」への招待 (21)

企業家精神を求めてゲーム産業を考える

執筆者:吉崎達彦 2016年1月9日
タグ: 中国 インド 日本
エリア: 北米 アジア

 年末年始はついついテレビ漬けになってしまう。お陰で、世間で何が流行っているかをずいぶん学習することができた。筆者の場合、『紅白』はどんなにつまらなくても、勉強時間だと思って見ることにしている。そうでなかったら、今年はどういう歌が流行っていたかを知らないままに年が過ぎてしまうからである。
 それ以上に有益だったのは、年の瀬にNHKがやっていた「朝ドラ」総集編であった。『マッサン』(14年度下期)と『あさが来た』(15年度下期)を、今頃になって一気にまとめて見た。いやはや、なんと面白いではないか。近年の朝ドラは、『あまちゃん』(13年度上期)を別格とすれば、概して東京制作(上期)よりも大阪制作(下期)の方が面白い。ときどき「ハズレ」もあるのだけれど――遺憾ながら『純と愛』(12年度下期)のように――バットを長めに持ってブンブン振り回している様子がよく分かる。
 『マッサン』と『あさが来た』は、いずれも企業家の物語である。基本は夫婦愛を軸としたファミリードラマなのだが、大阪風の立身出世型サクセスストーリーが織り込まれている。特に脇役がよく出来ている。『マッサン』では堤真一演じるところの鴨居の大将(サントリーの創業者、鳥井信治郎がモデル)がカッコいい。『あさが来た』では、洋行帰りが鼻につく五代友厚がとにかく面白い。

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執筆者プロフィール
吉崎達彦(よしざきたつひこ) 双日総合研究所チーフエコノミスト。1960年(昭和35年)富山市生まれ。一橋大学社会学部卒業後、1984年日商岩井(現双日)に入社。米国ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会調査役などを経て現職。新聞・経済誌・週刊誌等への執筆の他、「サンデープロジェクト」等TVでも活躍。また、自身のホームページ「溜池通信」では、アメリカを中心に世界の政治経済について鋭く分析したレポートを配信中。著書に『溜池通信 いかにもこれが経済』(日本経済新聞出版社)、『1985年』(新潮新書)など、共著に『ヤバい日本経済』(東洋経済新報社)がある。
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