米国で深刻化する「薬価」問題(下)破産に追い込まれるがん患者

大西睦子
執筆者:大西睦子 2016年1月27日
エリア: 北米 日本

 さらに、価格が高騰する新薬のなかでもとりわけ暴騰している新規の抗がん剤の価格は、「患者に財政的な“毒性”を及ぼし、薬の“副作用”である」とまで言われています。がん治療の世界的リーダーである「メモリアル・スローンケタリングがんセンター」(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center:MSKCC)のピーター・バック博士の調査によると、1970年代から、新たに承認された抗がん剤の価格が急上昇しています。実際、1965年以来、抗がん剤の価格は約100倍に上昇。2010年~2014年に新たに承認された30種類以上の抗がん剤の価格は、月に1万ドル(約120万円)以上まで上昇していることが確認されたのです。

 また、2015年8月、「テキサス州立大学 MDアンダーソンがんセンター」のハゴップ・カンタジャリアン教授と「メイヨー・クリニック」のビンセント・ラクマー教授は、医学雑誌の『メイヨー・クリニック紀要』(Mayo Clinic Proceedings)に、高価な抗がん剤に関する問題を共同で報告しました。そのなかで非常に興味深い2つの事例を取り上げ、改めて「薬価暴騰」に対して問題提起し、注目を集めました。

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執筆者プロフィール
大西睦子
大西睦子 内科医師、米国ボストン在住、医学博士。1970年、愛知県生まれ。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月からボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月から2013年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度受賞。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。『「カロリーゼロ」はかえって太る!』(講談社+α新書)。『健康でいたければ「それ」は食べるな』(朝日新聞出版)などがある。
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