全人代でも「尖閣」に牙を剥いた中国の意図

執筆者:村上政俊 2016年4月5日
エリア: アジア

 中国政治の1年間の最大のイベントである全国人民代表大会(全人代)での共産党幹部による活動報告の中で、日中関係の文脈で着目すべきだったのは、周強・最高人民法院(最高裁判所)院長のそれだった。立法、行政、司法の三権分立が存在せず、共産党の完全コントロール下にあるのに加えて、これまで司法機関のトップの発言が日中関係に影響を与えることはほとんどなかったので、日本からの注目度は、李克強首相(序列2位)の政府活動報告などに比べれば劣っていた。しかし、海洋国家日本の国益に反して、尖閣情勢を歪曲しようとする中国政府の意図について、ここでしっかりとした分析を加える必要がある。

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執筆者プロフィール
村上政俊(むらかみまさとし) 1983年7月7日、大阪市生まれ。現在、同志社大学嘱託講師、同大学南シナ海研究センター嘱託研究員、皇學館大学非常勤講師、桜美林大学客員研究員を務める。東京大学法学部政治コース卒業。2008年4月外務省入省。第三国際情報官室、在中国大使館外交官補(北京大学国際関係学院留学)、在英国大使館外交官補(ロンドン大学LSE留学)勤務で、中国情勢分析や日中韓首脳会議に携わる。12年12月~14年11月衆議院議員。中央大学大学院客員教授を経て現職。著書に『最後は孤立して自壊する中国 2017年習近平の中国 』(石平氏との共著、ワック)。
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