中国経済3つの「二重構造」:「党と政府」「バブルと負債」「衰退産業と成長産業」

後藤康浩
執筆者:後藤康浩 2016年11月14日
居住者がいない高層マンションが林立する「鬼城」が再び出現している(C)時事

 

 中国経済がますます理解しにくくなっている。成長率が低下し、鉄鋼、石炭など過剰生産の産業が破綻の淵にあるかと思えば、世界の鉄鉱石、原料炭価格は中国の買いで急上昇。習近平国家主席が反腐敗と引き締めを語る傍ら、不動産バブルが再来し、自動車販売も2ケタ増。国際通貨基金(IMF)が政府や企業の債務膨張に警告を発する一方で、中国企業は先進国企業の爆買いに走っている。中国経済はハードランディングに向かっているのか、底打ちしたのか? 謎を解くには、党と政府、バブルと負債、衰退産業と成長産業という、中国経済が今抱える3つの二重構造を理解する必要があるだろう。

 

読み切れない「持続力」

 9月初旬に杭州で開催した主要国首脳会議(G20)でも、あるいは同月下旬の経団連など日本の経済界の訪中ミッションでも、大きな話題になったのは中国の鉄鋼の過剰生産だった。世界のほぼ半分の鉄鋼を生産する中国の過剰生産能力が世界にとって深刻な問題であり、中国自身も宝鋼集団と武鋼集団の大手2社の合併など設備縮小に具体的に動いている。一方で、中国の鉄鋼業界には「これからは設備縮小より増産」といった底打ち感が漂っている。道路、空港、工業団地などインフラ建設が各地で再開され、ビル、集合住宅など建設プロジェクトも動き出しているからだ。

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執筆者プロフィール
後藤康浩
後藤康浩 亜細亜大学都市創造学部教授、元日本経済新聞論説委員・編集委員。 1958年福岡県生まれ。早稲田大政経学部卒、豪ボンド大MBA修了。1984年日経新聞入社。社会部、国際部、バーレーン支局、欧州総局(ロンドン)駐在、東京本社産業部、中国総局(北京)駐在などを経て、産業部編集委員、論説委員、アジア部長、編集委員などを歴任。2016年4月から現職。産業政策、モノづくり、アジア経済、資源エネルギー問題などを専門とし、大学で教鞭を執る傍ら、テレビ東京系列『未来世紀ジパング』ナビゲーター、ラジオ日経『マーケットトレンド』などテレビ、ラジオに出演。講演や執筆活動も行っている。著書に『ネクスト・アジア』『アジア力』『資源・食糧・エネルギーが変える世界』『強い工場』『勝つ工場』などがある。
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