中国経済3つの「二重構造」:「党と政府」「バブルと負債」「衰退産業と成長産業」

執筆者:後藤康浩 2016年11月14日
居住者がいない高層マンションが林立する「鬼城」が再び出現している(C)時事

 

 中国経済がますます理解しにくくなっている。成長率が低下し、鉄鋼、石炭など過剰生産の産業が破綻の淵にあるかと思えば、世界の鉄鉱石、原料炭価格は中国の買いで急上昇。習近平国家主席が反腐敗と引き締めを語る傍ら、不動産バブルが再来し、自動車販売も2ケタ増。国際通貨基金(IMF)が政府や企業の債務膨張に警告を発する一方で、中国企業は先進国企業の爆買いに走っている。中国経済はハードランディングに向かっているのか、底打ちしたのか? 謎を解くには、党と政府、バブルと負債、衰退産業と成長産業という、中国経済が今抱える3つの二重構造を理解する必要があるだろう。

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執筆者プロフィール
後藤康浩(ごとうやすひろ) 亜細亜大学都市創造学部教授、元日本経済新聞論説委員・編集委員。 1958年福岡県生まれ。早稲田大政経学部卒、豪ボンド大MBA修了。1984年日経新聞入社。社会部、国際部、バーレーン支局、欧州総局(ロンドン)駐在、東京本社産業部、中国総局(北京)駐在などを経て、産業部編集委員、論説委員、アジア部長、編集委員などを歴任。2016年4月から現職。産業政策、モノづくり、アジア経済、資源エネルギー問題などを専門とし、大学で教鞭を執る傍ら、テレビ東京系列『未来世紀ジパング』などにも出演していた。現在も幅広いメディアで講演や執筆活動を行うほか、企業の社外取締役なども務めている。著書に『アジア都市の成長戦略』(2018年度「岡倉天心記念賞」受賞/慶應義塾大学出版会)、『ネクスト・アジア』(日本経済新聞出版)、『資源・食糧・エネルギーが変える世界』(日本経済新聞出版)、『アジア力』(日本経済新聞出版)、『強い工場』(日経BP)、『勝つ工場』(日本経済新聞出版)などがある。
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