軍事のコモンセンス (12)

世界秩序と日本の平和

米国と国連は、世界秩序維持のための車の両輪なのだ (c)時事

 秩序と平和が同義であることは、各人の家庭のことを考えれば理解できる。その家庭が平和であればそこには必ず秩序があり、秩序ある家庭は平和なのである。秩序のない平和な家庭というものはあり得ない。

「日本さえ平和であれば、世界は平和でなくても良い」という考え方が、昔から左右を問わず日本人には多かった。そういう利己的な考え方を「1国平和主義」という。

 その1国平和主義は間違いだと知りつつも、では世界秩序(平和)のために日本が何を為すべきか、について発言する人はなお少ない。一方で、核廃絶と非武装を叫ぶだけの人は、自分が1国平和主義者であることすら知らない。その何れも世界を広く冷静に見る目を持っていないのである。

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執筆者プロフィール
冨澤暉(とみざわひかる) 元陸将、東洋学園大学理事・名誉教授、財団法人偕行社理事長、日本防衛学会顧問。1938年生まれ。防衛大学校を卒業後、陸上自衛隊に入隊。米陸軍機甲学校に留学。第1師団長、陸上幕僚副長、北部方面総監を経て、陸上幕僚長を最後に1995年退官。著書に『逆説の軍事論』(バジリコ)、『シンポジウム イラク戦争』(編著、かや書房)、『矛盾だらけの日本の安全保障』(田原総一朗氏との対談、海竜社)。
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