軍事のコモンセンス (30)

混同なき「運用」と一貫した「訓練」を

執筆者:冨澤暉 2017年9月9日
タグ: 自衛隊 国連 日本
エリア: アジア
陸上自衛隊総合火力演習でのひとコマ。どのような運用のためにどんな訓練をすべきか、は重要だ (C)時事

 報道でもよく登場する「防衛計画の大綱」という場合の「防衛計画」とは、「防衛力整備計画」のことであり、「年度防衛計画(年防)」の「防衛計画」とは、現在の「運用計画」のことである。まずそのことから説明したい。

自衛官は何よりも「別表」を重視

 2013年に「国家安全保障戦略」が決定されるまで、日本国に「国家戦略」はなかった。この戦略を決定した閣議決定において、政府は「本決定は(1957年に決定された)国防の基本方針に代わるものとする」としているので、「国防の基本方針」も国家戦略であったという見方があるが、それを認める人は少ない。

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執筆者プロフィール
冨澤暉(とみざわひかる) 元陸将、東洋学園大学理事・名誉教授、財団法人偕行社理事長、日本防衛学会顧問。1938年生まれ。防衛大学校を卒業後、陸上自衛隊に入隊。米陸軍機甲学校に留学。第1師団長、陸上幕僚副長、北部方面総監を経て、陸上幕僚長を最後に1995年退官。著書に『逆説の軍事論』(バジリコ)、『シンポジウム イラク戦争』(編著、かや書房)、『矛盾だらけの日本の安全保障』(田原総一朗氏との対談、海竜社)。
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