シリア南西部で米・露・ヨルダンによる停戦合意が発効:「シリア分割」への一歩?

7月7日に、ハンブルクG20サミットに際して行われた米・露の大統領・外相会談を通じて、米・露・ヨルダン(およびイスラエル)による、シリア南西部での部分停戦に関する合意が発表された。ヨルダンで実質的な協議が行われて合意に至ったこの停戦は7月9日正午発効し、その実際の効果や持続性には大いに懐疑的でいなければならないものの、当面は一定の有効性を保っているようである。

今回の合意で含まれる地域は、シリア南西部の、そもそもの2011年の反政府デモの発端となったデラア県、ドゥルーズ教徒が多く住むスワイダー県、そしてイスラエルにその多くが占領されているゴラン高原を含むクネイトラ県である。ヨルダンやイスラエルとの国境に接したエリアについて、米・露が隣接国と協議して部分停戦が合意されたことになる。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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