サイバーウォー・クレムリン (8)

ロシア「ソフトウェア」の驚くべき「不都合な真実」

執筆者:小泉悠 2017年11月20日
エリア: 北米 ヨーロッパ
内心はかなり焦っているのではないか(C)AFP=時事
 

 前回(「軍人の『SNS規制』ロシア『デジタル経済ドクトリン』の眼目」2017年10月31日)は、通信回線などを中心としたインターネット・インフラが「ロシア化」されようとしている状況について解説した。そこで今回は、インフラからソフトウェアへと目を転じてみたい。

 ロシアにおいてソフトウェア、特に官公庁や国が出資する企業のデジタル機器やソフトウェアの国産化が重視されていることは、前回、「デジタル経済ドクトリン」に関連してすでに触れた。官公庁や機微な製品を扱う企業の業務用ソフトウェアに密かに「バックドア」が開けられており、機密情報が流出するかもしれない……このような懸念は、インターネット時代の初期から存在していたし、2000年に策定された「情報安全保障ドクトリン」には早くもそのような記述が見られる。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
小泉悠(こいずみゆう) 東京大学先端科学技術研究センター准教授 1982年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。民間企業勤務を経て、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員として2009年~2011年ロシアに滞在。公益財団法人「未来工学研究所」で客員研究員を務めたのち、2019年3月から現職。専門はロシアの軍事・安全保障。主著に『軍事大国ロシア 新たな世界戦略と行動原理』(作品社)、『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア』(東京堂出版)、『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(同)。ロシア専門家としてメディア出演多数。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top