「ナポリピザ」「和食」は「無形文化遺産」ではないと知っていますか
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第12回政府間委員会が昨年12月上旬、韓国・済州島で開かれ、イタリアのナポリピザなど33件が新たに「無形文化遺産」に登録された。登録が認められた各国は決定を喜び、多くのメディアもその様子を好意的に伝えていた。
ただ、無形文化遺産の登録制度はそもそも、失われつつある祭礼行事や伝統舞踊を守るためにつくられた。ピラミッドやパルテノン神殿など「世界文化遺産」と同様に、各地の名物や名所に国際的な「お墨付き」がもらえる制度と勘違いされ、各国政府の観光客誘致策の一環として、当初想定した対象ではないような案件の登録を強力に推し、政治力を行使しようとする動きもある。創設時の理念を忘れ、登録競争だけが激化すれば、制度の存在意義さえ危うくなる。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン