「ナポリピザ」「和食」は「無形文化遺産」ではないと知っていますか

執筆者:田井誠 2018年2月16日
「無形文化遺産」登録にナポリの職人たちも喜んだが……(C)EPA=時事

 

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第12回政府間委員会が昨年12月上旬、韓国・済州島で開かれ、イタリアのナポリピザなど33件が新たに「無形文化遺産」に登録された。登録が認められた各国は決定を喜び、多くのメディアもその様子を好意的に伝えていた。

 ただ、無形文化遺産の登録制度はそもそも、失われつつある祭礼行事や伝統舞踊を守るためにつくられた。ピラミッドやパルテノン神殿など「世界文化遺産」と同様に、各地の名物や名所に国際的な「お墨付き」がもらえる制度と勘違いされ、各国政府の観光客誘致策の一環として、当初想定した対象ではないような案件の登録を強力に推し、政治力を行使しようとする動きもある。創設時の理念を忘れ、登録競争だけが激化すれば、制度の存在意義さえ危うくなる。

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執筆者プロフィール
田井誠 たいまこと、共同通信社記者。1980年生まれ。2003年共同通信社入社、名古屋支社、長崎支局、文部科学省、文化庁、国土交通省などを担当。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産登録事業を担当し、ドイツ・ボンで開かれた第39回世界遺産委員会やエチオピア・アディスアベバでの第11回政府間連絡会議などを現地取材。『進化する日本の食』(PHP新書)、『新しい力:私たちが社会を変える』(新評論)などの一部を執筆。
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