ヨーロピアン・ラプソディ (13)

「プチデモン逮捕」で先が見えないカタルーニャ「自治復権」

執筆者:大野ゆり子 2018年3月29日
エリア: ヨーロッパ
プチデモンの逮捕に抗議して、バルセロナ市内で抗議デモを行う独立派市民と警察官。男性の肩に掛けられているのは、カタルーニャ独立旗 (C)EPA=時事

 

 スペイン・カタルーニャ自治州のカルレス・プチデモン前州首相がドイツ警察に身柄拘束されたというニュースが流れたのは、復活祭を1週間後に控えた3月25日のことだった。この週はイエス・キリストの苦難に思いを馳せるキリスト教の習慣から、「受難週」と呼ばれる。独立を率いてきた主要政治家は、この1週間にほぼ全員逮捕され、独立派にとっては、まさに「受難」の週となった。カタルーニャの「独立宣言」後、スペインでの逮捕を逃れ、2017年10月末からベルギーブリュッセルに置かれたプチデモン氏の「亡命政権」は、およそ5カ月で幕を閉じることになったのである。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
大野ゆり子(おおのゆりこ) エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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