マネーの魔術史 (47)

金本位制の崩壊と管理通貨制度への移行

執筆者:野口悠紀雄 2018年4月19日
(C)AFP=時事

 

 第1次世界大戦の勃発で、各国とも金本位制を一時中止し、管理通貨制度に移行した。戦争によって増大した対外支払のために、金を政府に集中させることが必要になったからである。

 また、戦禍のため、世界最大の為替決済市場であったロンドンが活動を停止したこと、各国間での為替手形の輸送が途絶したことなども影響した。

 ただし、これはあくまでも一時的な措置で、戦争が終われば解除されるはずのものであった。

 事実、アメリカは大戦終了直後の1919年に金輸出を再開し、金本位制に復帰した。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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