マネーの魔術史 (57・最終回)

最終回・仮想通貨は国家をゆるがすか?

執筆者:野口悠紀雄 2018年7月6日
エリア: アジア
(C)AFP=時事

 

 これまで見てきた数千年の長い歴史を通じての重要な教訓は、政府はマネーを創造することによって財源を調達できるということだ。とりわけ戦費の調達には、この手段が重要な役割を果たしてきた。

 こうしたことが可能なのは、マネーの発行権が中央銀行によって独占されており、政府が中央銀行に影響を与えられるからだ。

 現代の世界では、中央銀行によるマネー発行の独占は当たり前のように考えられていて、誰も疑問を差し挟まない。しかし、歴史的に見ると、そうではない時代もあった。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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