経済の頭で考えたこと (100)

中国「監視社会」強化に米国が築く「分断線」

執筆者:田中直毅 2018年5月30日
エリア: 北米 アジア
サイバー空間での中国「監視社会」化を異形ととらえ、対抗する米国。溝は深まるか(左・習近平中国国家主席、右・トランプ米大統領)(C)AFP=時事

 

 米中関係の根底的変化は、2013年に明らかになった中国による米国へのサイバー・アタックによって引き起こされた、と言ってよい。予想を超えるスピードで登場した中国製のステルス戦闘機J31は、米国のF35を外見上もまったく模したものだった。

 さらにサイバー空間での中国人民解放軍による窃盗行為は、軍事機密のみにとどまらず、民間企業の意思決定プロセスにも及んでいることが、米国の調査会社によって明らかにされた。サイバー・アタックの時間分布をとると、中国における勤務時間帯に集中しており、また昼休み時間には攻撃が中断していることも分かったのだ。

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執筆者プロフィール
田中直毅(たなかなおき) 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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