「欧州ポピュリズム」と「イスラム過激派」が重なる「分断」というキーワード

仏ルペンが企画した「国家の祭典」で演説する「オーストリア自由党」事務局長ヴィリムスキ。「イスラム主義」を糾弾した (筆者撮影、以下同)

 

 4月末に訪れた南仏ニースは、地中海を越えてアフリカ大陸から吹き付ける強風にさらされていた。憧れの高級保養地だけあって、世界から集まった観光客のフランス語、英語、イタリア語、中国語が飛び交う街である。

 海沿いに整備された遊歩道「プロムナード・デ・ザングレ」を、ランヴァル財団子供病院前の147番地からカジノ横の11番地まで歩く。片道約2キロあり、1時間かけて往復したら軽く汗ばんだ。すれ違う人々は初夏のいでたちで、そぞろ歩きを楽しみ、ジョギングに汗を流し、道端のベンチで語り合う。静かで平和な光景だった。

カテゴリ: 政治 社会 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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