日本版NSC構想の盲点――成功の鍵は「制度」ではなく「人材」

柳澤協二
執筆者:柳澤協二 2013年7月8日
カテゴリ: 外交・安全保障
エリア: 日本

 安倍政権の「国家安全保障会議」創設法案は、参議院選挙で衆・参のねじれ解消の後、秋の臨時国会で審議され成立する見通しだ。

「日本版NSC構想」の主眼は、総理・官房・防衛・外務の4閣僚による協議を通じて、安保政策の基本的事項を決定するとともに、政策立案機能を持った事務局によってそれを補佐する、そのため、各省に情報などの資料提供を義務付けることにある。安全保障担当補佐官を中心に、外交・安保政策を展開する米国のNSCにならったものだ。

 統合的な安保政策の前提は、言うまでもなく、情報の統合だ。米国では、9.11の反省から、国家情報長官を中心とする情報の統合を図っている。日本の場合、官邸による情報集約は、危機管理センターに併設された情報集約センターで24時間のモニターを行なっているほか、内閣情報会議の下部機構である合同情報会議(議長は事務副長官)を通じ、内閣情報調査室を中心とした情報担当省庁の協力に頼っている。

 言い換えれば、危機管理情報は集約されるが、平時の政策情報は各省の判断に従って官邸にあげられる。日本の場合、政策の立案・執行権限が各省に帰属している。いわゆる「ボトム・アップ」であり、「縦割り」である。情報は、保有者である各省によって選別され、官邸に伝達される。そこで、今回のNSC構想では、総理を中心とする少人数の閣僚協議によって方針を決め、必要な情報の提出を求めることになっている。「トップ・ダウン」への変更である。

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執筆者プロフィール
柳澤協二
柳澤協二 国際地政学研究所副理事長。1946年東京都生れ。70年東京大学法学部卒業後、防衛庁入庁。長官官房長、防衛研究所所長などを歴任。2004年4月から09年9月まで官房副長官補。
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