「石油危機40周年」で考える世界のエネルギー事情の変遷

 輸送用燃料としても、石油は大きな転換点を迎えている (C)時事
輸送用燃料としても、石油は大きな転換点を迎えている (C)時事

 いまから40年前の 1973年10月に起きた石油危機は、人類が石油を本格的に使い始めてからおよそ100年目の出来事だった。液体で運びやすく、単位量当たりの発熱量も大きい石油は人類にとってきわめて利便性の高いエネルギーとなり、人類の生活を一変させた。最も大きな変化は、自動車と航空機の発明と普及だろう。徒歩や馬、自転車に依存していた時代に比べ、人の移動距離は数十倍、数百倍に拡大した。石油はもちろん暖房や発電にも利用されるが、それは薪や石炭、天然ガスさらに原子力でも代替されるもので、石油の本質は実は輸送用燃料にある。

 石油の利便性を活用してきた人類は、石油消費を急激に拡大するとともに、希少性の高い石油をめぐって争うようになった。第2次世界大戦は石油をめぐる戦争でもあった。日本は「ABCD包囲網」と呼ばれた米欧の石油禁輸策によって新たな調達の道を塞がれ、石油不足によって軍事行動が不可能になるという焦りが、軍部に開戦の最終決断を迫ることになった。真珠湾攻撃と並行して日本軍が向かったのはインドネシアのスマトラ島のパレンバンなど油田地帯であり、欧州でも開戦とともにナチスドイツが目指したのはルーマニアの油田地帯だった。20世紀前半には石油は米国、ロシア、ルーマニア、イラン、イラク、インドネシアなど限られた場所でしか生産されておらず、きわめて偏在性の高い資源だったのだ。

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