鴻海の「シャープ買収」で見える台湾経済の「脱中国」戦略

執筆者:新田賢吾 2016年3月2日
エリア: アジア

 一国の経済の浮沈を一企業が握ることは珍しくない。戦前の日本の三井、三菱など財閥や、1990年代以降の韓国のサムスン電子、現代自動車は好例だ。シャープ買収をめぐって日本でも社名が浸透した鴻海(ホンハイ)精密工業は、台湾の製造業を代表するだけでなく、「受託製造」という台湾特有のビジネスモデルを牽引してきた。シャープ買収は鴻海にとってモデルの転換を意味するが、同時に台湾の製造業も受託製造から新たなステージに上がろうとしていることを映し出す。背景にあるキーワードは「脱中国」である。

 

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top