一国の経済の浮沈を一企業が握ることは珍しくない。戦前の日本の三井、三菱など財閥や、1990年代以降の韓国のサムスン電子、現代自動車は好例だ。シャープ買収をめぐって日本でも社名が浸透した鴻海(ホンハイ)精密工業は、台湾の製造業を代表するだけでなく、「受託製造」という台湾特有のビジネスモデルを牽引してきた。シャープ買収は鴻海にとってモデルの転換を意味するが、同時に台湾の製造業も受託製造から新たなステージに上がろうとしていることを映し出す。背景にあるキーワードは「脱中国」である。
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