「東芝」にみる電機産業の「崩壊」と「再生」

執筆者:新田賢吾 2015年12月24日
エリア: 日本

 東芝は12月21日、2016年3月期に創業以来最悪の5500億円の最終赤字を出し、国内外で1万人の削減に踏み切ることを発表した。粉飾決算が明らかになって以来、過去3代の社長の確執なども外部に明らかになり、ブランドも大きく毀損した東芝の将来には悲観的な見方も多い。だが、旧松下電機産業(現パナソニック)や日立製作所などの復活の実例をみればわかるように、これは、戦後急成長した日本の電機産業が古くて硬い甲羅を壊し、新しい事業構造を持った会社に生まれ変わるプロセスとみるべきだ。センサーなどデバイスが伸びるソニーも含め、日本の電機・電子産業はようやく真の意味での新しい世紀に入っていこうとしている。

 

永遠のライバル

 21日夕方に会見した東芝の室町正志社長は、巨額の赤字発表でさすがに深刻な表情を浮かべた一方、さばさばした口調で説明を続けた。この日の東芝に重なるのは、2009年3月期決算で7873億円という日本の製造業で最悪の最終赤字を出した日立の姿だ。永遠のライバルとも言える東芝と日立は、事業の構造がかつては酷似していた。

 ともに発電機、モーターなどの重電関連や原子炉などの電力ビジネスを柱とし、機関車や車両などの鉄道、エレベーターといったインフラ関係、いわゆる重厚長大分野を持つ一方、半導体、電子部品にも強く、さらにテレビはじめ映像音響機器分野にも手を伸ばし、冷蔵庫、エアコンなど白物家電でも共通していた。戦前から日本の工業化、近代化を電機分野で支えることで成長し、戦後は高度成長のなかで中流家庭の消費の膨張に家電、企業のIT化に電子機器で応えたからだ。ある分野に日立が出れば東芝も進出し、またその逆もあった。需要の伸びる分野には貪欲に進出し、事業分野を拡げることこそが高度成長の成功モデルだったからだ。それを実現する技術基盤、資本、人材も両社にはあった。

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