クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?
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共産党が儲かるワケ

徳岡孝夫
執筆者:徳岡孝夫 2014年8月8日
カテゴリ: 国際 文化・歴史

 日本円にして約1兆5000億円の蓄財を没収されたそうである。

 中国共産党の元最高指導者の1人で、政治局常務委員だった人だから、周永康氏(71)は、いわば中国共産党株式会社の元常務取締役である。その人が失脚し、財産は没収されたという。政治的な抗争はどの国にもあることで、私はとくに驚かなかったが、共産党が儲かるのにはびっくりした。

 日本で選挙があるたび日本共産党の宣伝カーが回ってきて「一部富裕層の利益ばかり図る自民党」を攻撃する。ところが海を渡って中国に行けば、一部富裕層とは共産党幹部のことなのだ。何という語義上の混乱。何という皮肉だろう。

 

 私が過去に一度、役人から堂々と賄賂を要求された(そして払った)のは1975年の4月27日か28日のことだと記憶している。場所は、陥落が時間の問題になったベトナム共和国(南ベトナム)の首都サイゴン(今のホーチミン)である。

 中部高原で一斉攻撃を始めた北ベトナム軍は、戦意を失ってただ逃げるだけの南ベトナム軍を追い、サイゴン郊外に迫っていた。政府軍の弾薬庫は爆破され、その爆風はサイゴン目抜き通りにある私の部屋の窓まで吹いてきた。

 そういう、およそ賄賂の遣り取りには不適当な場で、賄賂はモノを言ったのである。

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執筆者プロフィール
徳岡孝夫
徳岡孝夫 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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