クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

「毛沢東」はどこへ行った

執筆者:徳岡孝夫 2015年12月9日
エリア: アジア

 ソウルで安倍晋三氏が朴槿恵さんと、懸案だった日韓首脳会談をした。会談は昼どきに終わったが、朴さんはお昼を出さなかった。別れに当り、両首脳はごく外交的な挨拶を交わした。
「これから、どうなさいますか」。問われた安倍首相は、朗らかに答えたと私は伝え聞いた。
「町に出て、焼肉でも食おうかと思っとります」

 ネット情報の海から拾った一片の挿話だから、真偽の程は私には分らない。読者も、そのつもりでお読みいただきたい。
 だが四角四面な首脳外交の中にも痛快な一刻があるものだと私は微笑した。
 松江侯屋敷の表玄関を出た河内山宗俊が、振り向いて「バカめ」と一喝する。芝居を見るようだった。

カテゴリ: 政治 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
徳岡孝夫(とくおかたかお) 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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