クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?
クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

「毛沢東」はどこへ行った

徳岡孝夫
執筆者:徳岡孝夫 2015年12月9日
エリア: 中国・台湾

 ソウルで安倍晋三氏が朴槿恵さんと、懸案だった日韓首脳会談をした。会談は昼どきに終わったが、朴さんはお昼を出さなかった。別れに当り、両首脳はごく外交的な挨拶を交わした。
「これから、どうなさいますか」。問われた安倍首相は、朗らかに答えたと私は伝え聞いた。
「町に出て、焼肉でも食おうかと思っとります」

 ネット情報の海から拾った一片の挿話だから、真偽の程は私には分らない。読者も、そのつもりでお読みいただきたい。
 だが四角四面な首脳外交の中にも痛快な一刻があるものだと私は微笑した。
 松江侯屋敷の表玄関を出た河内山宗俊が、振り向いて「バカめ」と一喝する。芝居を見るようだった。

 その会談に先立って朴さんは訪米し、オバマ大統領と米韓首脳会談をした。新聞に載った会談内容を見て、私は「大統領が面と向かってヨソの大統領を叱ることって、あるんだなあ」と感じた。
 オバマ氏の「叱責」には、それなりの根拠があったと私は思う。
 何より韓国は、今もなお北朝鮮と戦争中であり、ときどき大砲の撃ち合いさえしている。中国は敵・北朝鮮を応援して参戦した準敵国である。
 その国へ軍備を誇示する軍事パレードを見に行き、天安門の楼上に立つとは何事か。オバマ氏は朝鮮戦争で死んだ米兵の霊を背負って朴さんを詰問した。米軍最高指揮官である大統領として、当然の怒りである。

執筆者プロフィール
徳岡孝夫
徳岡孝夫 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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