「遊民経済学」への招待 (8)

上海発、日本経済への警戒警報

執筆者:吉崎達彦 2015年7月11日
エリア: 北米 アジア

  成田から上海に飛ぶ午後7時30分発のNH5715便は、定刻から1時間以上遅れていた。理由は「豪雨による浦東空港混雑のため」。言われてみれば当たり前のことなのだが、日本が梅雨の季節は中国大陸も同様であって、梅雨前線は「一衣帯水」なのである。
 6月26日、金曜日の夜であった。こちらは1週間の勤めを終えてから成田空港に移動し、さらにこれから飛行機に乗って上海に投宿し、明日は朝から国際会議という過酷な日程。そして筆者の周囲は、日本観光を終えた中国人観光客の老若男女ばかりで、もうじき帰国ということも手伝って、とってもハイテンションで賑やかであった。
 さらに、「ああそうか、『爆買い』の結果はこうなるのか…」と今さらながら気づいたが、皆が大量のお土産品を持ち込むので、機内では手荷物が入りきらなくなっていた。こちらとしてはなすすべもなく、エコノミークラスの後方座席で「ああ空気が薄い」と息をひそめていた次第である。

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執筆者プロフィール
吉崎達彦(よしざきたつひこ) 双日総合研究所チーフエコノミスト。1960年(昭和35年)富山市生まれ。一橋大学社会学部卒業後、1984年日商岩井(現双日)に入社。米国ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会調査役などを経て現職。新聞・経済誌・週刊誌等への執筆の他、「サンデープロジェクト」等TVでも活躍。また、自身のホームページ「溜池通信」では、アメリカを中心に世界の政治経済について鋭く分析したレポートを配信中。著書に『溜池通信 いかにもこれが経済』(日本経済新聞出版社)、『1985年』(新潮新書)など、共著に『ヤバい日本経済』(東洋経済新報社)がある。
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