国際論壇レビュー
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「イラン核」「ギリシャ」両合意で浮上した新たな「地政学的」懸念

会田弘継

 世界経済を揺るがし、国家破綻の寸前に妥協が成立したギリシャの債務危機。長期にわたった交渉が妥結を見たイラン核開発をめぐる協議――。歴史に刻印を刻んだひと月だった。いずれも国際システムに大きな意味を持つ出来事だ。ともに一応の妥協・妥結を見たが、合意実施をめぐり今後長期にわたって余波が続くのは間違いない。

 

より親米的な方向に

 イラン核開発をめぐる合意が重要なのは、核兵器の拡散防止という観点からだけではない。1979年のイランのイスラム革命以来36年に及ぶ米イランの対立が改善に向かう転機を掴んだという点で歴史的だ。

 合意の直後、牽引役となってきたオバマ米大統領に米紙『ニューヨーク・タイムズ』のコラムニスト、トーマス・フリードマンが単独会見している。フリードマンの解説入り長文記事を読むと、オバマ自身がこの合意を歴史的にどう位置づけているか、垣間見える。【Obama Makes His Case on Iran Nuclear Deal, NYT, July 14

 会見のはじめ、オバマはこの合意はあくまで「イランに核兵器を持たせない」ことだけを目的としたもので、イランの体制変革とか、中東の他の問題の解決につなげる意図はないと強調する。だがやがて、冷戦終結につながったレーガン大統領の対ソ連交渉や、米国の戦略大転換であったニクソン大統領の対中国外交を例に挙げて、歴史を変える「リスクをとる」ことについて語り出す。 

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執筆者プロフィール
会田弘継
会田弘継 青山学院大学地球社会共生学部教授、共同通信客員論説委員。1951年生れ。東京外国語大学英米科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを歴任。2015年4月より現職。著書に本誌連載をまとめた『追跡・アメリカの思想家たち』(新潮選書)、『戦争を始めるのは誰か』(講談社現代新書)、訳書にフランシス・フクヤマ『アメリカの終わり』(講談社)などがある。
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