「遊民経済学」への招待
「遊民経済学」への招待(13)

産業としての競馬の可能性

吉崎達彦

 最近は夏の終わりが早い。残暑の季節に妙な長雨やら台風が相次いで、しまいには堤防決壊に伴う洪水まで招いてしまった。被災された方には衷心からお見舞い申し上げたい。

 が、それはそれ。ようやく秋らしい天気になってきた。そして先週末からは秋競馬が始まっている。筆者も主戦場たる中山競馬場に参戦しなければならぬ。

秋競馬が始まった中山競馬場内。

 日曜日、常磐線各駅停車の上り列車に乗って、新松戸駅で乗り換える。ここでエスカレーターに乗っている人々のうち、筆者も含めた少なからぬ比率が競馬新聞を手にしている。ああ、なんと恥ずべき光景であろうか。が、そんなことは言っていられない。武蔵野線に乗り換える間も惜しんで、赤ペンを手に今日のレースを検討する。最近はiPadで移動中に情報をチェックできるので、電車の中が勝負なのである。

 それにしても、自分はなぜ週末ごとに競馬場に通っているのか。最近の競馬場には、若いカップルも増えている。中山の馬場内公園などは家族連れで一杯だ。しかし多数派を形成しているのは、どう見ても自分よりも年上のベテランファンたちである。この人たちが競馬場に来られなくなったら、競馬は確実に衰退していくだろう。
 俗に「ギャンブルは不況に強い」などといわれる。ただし近年の日本経済においては、まったく当てはまらない。JRAの売上の推移をご覧願いたい。1997年度の4兆円をピークに緩やかな減少が続いている。震災があった2011年度の2.3兆円をボトムに、ちょっとだけ回復して2014年度は2.5兆円、というのが現状である。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
吉崎達彦
吉崎達彦 双日総合研究所チーフエコノミスト。1960年(昭和35年)富山市生まれ。一橋大学社会学部卒業後、1984年日商岩井(現双日)に入社。米国ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会調査役などを経て現職。新聞・経済誌・週刊誌等への執筆の他、「サンデープロジェクト」等TVでも活躍。また、自身のホームページ「溜池通信」では、アメリカを中心に世界の政治経済について鋭く分析したレポートを配信中。著書に『溜池通信 いかにもこれが経済』(日本経済新聞出版社)、『1985年』(新潮新書)など、共著に『ヤバい日本経済』(東洋経済新報社)がある。
comment:3
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順