国際論壇レビュー

米大統領選で浮かび上がった「格差」と「政治言語」問題

 聞くところによれば、某大手全国紙の「ドン」と呼ばれる御仁は、昨年正月には当時論壇を賑わせていたトマ・ピケティの『21世紀の資本』を「徹底的に批判せよ」と檄を飛ばし、今年正月には「言ったとおり、もうピケティなどみんな忘れたろう」とうそぶいたそうだ。なるほど熱しやすく冷めやすい日本人はそうだろう。だが、「ドン」は国際論壇とはまったく無縁なところで日々を過ごしておられるらしい。

『21世紀の資本』とそこで論じられる格差問題が欧米論壇の焦点の1つになったのは日本語版が出る1年以上前、そして米国で発行される世界的な外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ』の本年第1号の特集は依然「格差(inequality)」である。

カテゴリ: 政治 社会 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
会田弘継(あいだひろつぐ) 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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