経済の頭で考えたこと (82)

英国「EU離脱」の深層とそれに続く「予備軍」

執筆者:田中直毅 2016年6月21日
エリア: ヨーロッパ

 伊勢志摩サミットを終えたメルケル独首相とオランド仏大統領の2人の心底を推し測ってみよう。
 ユーロ圏からのギリシア離脱(グレグジット)問題の顕在化からすでに6年がたつ。この間ドイツはギリシアに財政規律を促すために、ECB(欧州中央銀行)とIMF(国際通貨基金)という2つの国際機関を使って、ドイツという国家ができるだけ前面に立つことを回避しながら、ギリシア国民に財政面からの緊縮を要求してきた。しかしどうやらもう1度原点に戻らなければならない時点に来たようだ。3つの問題が同時に到来したからだ。 

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執筆者プロフィール
田中直毅(たなかなおき) 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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