「ダラス警官銃撃事件」と「トランプ」と「ツイッター」

武内宏樹
執筆者:武内宏樹 2016年8月23日
カテゴリ: 国際 社会 政治
エリア: 北米

 今年7月7日にテキサス州ダラスで、警察官が銃撃され、5人が死亡する事件が起きた。事件当日には、これより前にルイジアナ州バトンルージュとミネソタ州ファルコン・ハイツで相次いだ、白人警察官による黒人殺害に抗議する “Black Lives Matter” (「黒人にも人権を」)というデモが平和裡に行われていて、殺害された5人の警察官はいずれも、このデモの警備にあたっていた。銃撃を実行した容疑者は、「とにかく白人、特に白人の警察官を殺したかった」と動機を供述した。
 その後、7月17日にバトンルージュで、同様の動機で、警察官3人が殺害されるという事件が起き、ダラスでの事件の直後だけに全米に衝撃が走った。共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏は、これらの事件を取り上げて、米国が「この世の終わり」(doomsday)のような状態にあると吹聴して、オバマ大統領やヒラリー・クリントン氏ら既存の政治家を批判した。
 筆者はダラス在住だが、6月2日から7月21日まで日本に滞在していたため、警察官銃撃事件が起きたときはダラスを不在にしていた。しかしながら、同僚や友人からダラスの社会が大きなショックを受けていること、事件への警察の対応などについて聞いてきた。結果として、ダラスのニュースを日本から、つまり外から見ることのできる貴重な経験となった。
 事件後すぐに現地の様子をレポートすることはできなかったが、ダラスでの警察官銃撃事件を踏まえて、先月の共和党大会でトランプ氏を大統領候補に選んだ米国の「病巣」を探ってみる。トランプ氏が言うように米国社会は本当に危険なのか。なぜトランプ氏はここまで支持を拡大できたのか。少し冷静に考えてみたい。

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執筆者プロフィール
武内宏樹
武内宏樹 サザンメソジスト大学(SMU)政治学部准教授、同大学タワーセンター政治学研究所サン・アンド・スター日本・東アジアプログラム部長。1973年生れ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)博士課程修了、博士(政治学)。UCLA 政治学部講師、スタンフォード大学公共政策プログラム講師を経て、2008年よりSMUアシスタント・プロフェッサーを務め、2014年より現職。著書に『党国体制の現在―変容する社会と中国共産党の適応』(共編著、慶應義塾大学出版会、2012年)、Tax Reform in Rural China: Revenue, Resistance, Authoritarian Rule (ケンブリッジ大学出版会、2014年)。ほかに、International Relations of the Asia-Pacific、Japanese Journal of Political Science、Journal of Chinese Political Science、Journal of Contemporary China、Journal of East Asian Studies、Modern Chinaなどに英語論文を掲載。専門は、中国政治、日本政治、東アジアの国際関係及び政治経済学。
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