経済改革:今こそ安倍政権が取り組むべきこと

武内宏樹

 2回にわたって日米関係と日本の安全保障について論じてきた。今年の通常国会は会期を大幅に延長したものの、審議時間の大半を安保法制に費やしたため、経済改革関連の法制化があまり進まない国会となってしまった。国の安全保障をめぐる議論を最優先するという政権の方針に異存はないが、日本経済立て直しのための改革は「待ったなし」の状況であり、経済関連法制の審議が滞ってしまったのは残念なことであった。
 安倍政権がアベノミクス3本目の矢として打ち出した「成長戦略」には様々な経済改革が含まれるが、筆者は農協改革と労働市場改革がとくに重要だと考えている。議論の具体的な中身は、農協改革は山下一仁氏(「年初に考える『農協』問題」)、労働市場改革は原英史氏(「『派遣法改正論議』をややこしくした『2つのねじれ』」)が『フォーサイト』誌上で詳しく論じているので参照していただくことにして、本稿では経済改革を進めることが国際関係、とくに我が国の安全保障問題に関わってくるという点を論じてみたい。
 5月23日付の論考「安倍訪米後の『新時代』日米関係(中)一段踏み込んだ『同盟』」で、筆者は「問題解決のためにアイディアを出し、政策を決定して、それを実行に移していく能力」が「国力」であると主張した。つまり、政策の「決定力」「実行力」がその国の能力を決めるという考えである。この観点からいうと、ここ15年に限ってみると、「決められない政治」の典型であった鳩山政権が最低で、決定力が際立った小泉政権が最高ということになる。

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執筆者プロフィール
武内宏樹
武内宏樹 サザンメソジスト大学(SMU)政治学部准教授、同大学タワーセンター政治学研究所サン・アンド・スター日本・東アジアプログラム部長。1973年生れ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)博士課程修了、博士(政治学)。UCLA 政治学部講師、スタンフォード大学公共政策プログラム講師を経て、2008年よりSMUアシスタント・プロフェッサーを務め、2014年より現職。著書に『党国体制の現在―変容する社会と中国共産党の適応』(共編著、慶應義塾大学出版会、2012年)、Tax Reform in Rural China: Revenue, Resistance, Authoritarian Rule (ケンブリッジ大学出版会、2014年)。ほかに、International Relations of the Asia-Pacific、Japanese Journal of Political Science、Journal of Chinese Political Science、Journal of Contemporary China、Journal of East Asian Studies、Modern Chinaなどに英語論文を掲載。専門は、中国政治、日本政治、東アジアの国際関係及び政治経済学。
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