国際論壇レビュー
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「トランプ現象」の本質(中)「エリート」と「一般市民」の断絶

会田弘継
執筆者:会田弘継 2016年9月1日
エリア: 北米
本人が果たして何を「政治的に、かつ道義的に正しい」と考えているのか判然としないことが問題(C)AFP=時事

 

 これだけの政治的混乱を引き起こしている「トランプ現象」を「バカげたもの」と放っておく訳にはいかない。英高級紙『ガーディアン』は8月半ば、本格的に思想史から考える研究者による長文論考『トランプによる右翼反乱の暗い歴史』を掲載した。それだけではない。米最高学府とされるハーバード大学の政治学大学院ケネディースクールからも著名な学者による『トランプ、Brexit、ポピュリズムの興隆』と題された調査報告書が出された。学術研究も本格化する兆候がある。

 ハーバード大調査報告は政治意識論で著名なミシガン大教授ロナルド・イングルハートとハーバード大の研究者によるものだ。副題は「経済的弱者と文化的反動」。トランプ現象と英国の欧州連合(EU)脱退について、経済グローバル化で脱工業化を遂げた先進国社会で(1)労働者階級が直面する経済的困窮(2)同社会で発展した進歩的価値観に対する大衆の反発――という2つの側面からポピュリズム発生の原因を探っている。(2)の「文化的反動(cultural backlash)」が主たる原因というのが結論だ。【Trump, Brexit, and the Rise of Populism: Economic Have-Nots and   Cultural Backlash, HARVARD Kennedy School, Aug. 2016

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執筆者プロフィール
会田弘継
会田弘継 青山学院大学地球社会共生学部教授、共同通信客員論説委員。1951年生れ。東京外国語大学英米科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを歴任。2015年4月より現職。著書に本誌連載をまとめた『追跡・アメリカの思想家たち』(新潮選書)、『戦争を始めるのは誰か』(講談社現代新書)、訳書にフランシス・フクヤマ『アメリカの終わり』(講談社)などがある。
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