軍事のコモンセンス (3)

「自衛」と「安全保障」(上)

「日米戦争は日本の自衛戦争だったのか?」――インターネット等で調べると、この質問に「そのとおり、自衛戦争だった」と答えている日本人が多数いる。他方、「自衛戦争などと言える筈もない」という異見もかなりある。その賛否両論ともに、その論拠を1951年の米上院軍事外交合同委員会におけるマッカーサー証言においているものが多い。
 即ち、朝鮮戦争における国連軍司令官兼米軍総司令官を務めたマッカーサー元帥が対中国戦指導についてトルーマン大統領と対立、解任された後に米上院において述べた言葉の解釈が、この2つの意見の分かれ目になっているのだ。
 問題のその部分を読んでみよう。

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執筆者プロフィール
冨澤暉(とみざわひかる) 元陸将、東洋学園大学理事・名誉教授、財団法人偕行社理事長、日本防衛学会顧問。1938年生まれ。防衛大学校を卒業後、陸上自衛隊に入隊。米陸軍機甲学校に留学。第1師団長、陸上幕僚副長、北部方面総監を経て、陸上幕僚長を最後に1995年退官。著書に『逆説の軍事論』(バジリコ)、『シンポジウム イラク戦争』(編著、かや書房)、『矛盾だらけの日本の安全保障』(田原総一朗氏との対談、海竜社)。
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