軍事のコモンセンス (9)

「駆けつけ警護」と「宿営地の共同防護」

執筆者:冨澤暉 2017年1月7日
エリア: アジア
1992年、カンボジア・タケオ。自衛隊PKO活動と「駆けつけ警護」の歴史は、ここから始まった (c)時事

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊(約350名の施設部隊)が2016年12月から「駆けつけ警護」と「宿営地の共同防護」という新任務を実施することが可能になった。「現地は政府部隊と反政府部隊の対立が激しく治安状態が悪化しつつあり、こういう状況下での新たな新任務付与は危険であり、極めて不安である。新任務の付与を直ちに取り消すべきだ」と、多くのマスコミが言い立てている。
 しかし、1992年以来の自衛隊PKO活動などを知る筆者にとって、この新任務付与は、自衛隊の一歩前進であり、洵(まこと)に悦ばしいことなのである。
 無論、この「国際協調に基づく積極的平和主義」を一層前進させて行くためには、更なる「(1)自衛隊訓練・運用の改善、(2)法制の整備、(3)国民の理解と支援」がなければならないが、先ずは、本題の分析・評価・課題などについて述べることとする。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
冨澤暉(とみざわひかる) 元陸将、東洋学園大学理事・名誉教授、財団法人偕行社理事長、日本防衛学会顧問。1938年生まれ。防衛大学校を卒業後、陸上自衛隊に入隊。米陸軍機甲学校に留学。第1師団長、陸上幕僚副長、北部方面総監を経て、陸上幕僚長を最後に1995年退官。著書に『逆説の軍事論』(バジリコ)、『シンポジウム イラク戦争』(編著、かや書房)、『矛盾だらけの日本の安全保障』(田原総一朗氏との対談、海竜社)。
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