中東―危機の震源を読む (94)

トランプがエルサレムを首都承認した後に何が起こるか

執筆者:池内恵 2017年12月6日
エリア: 北米 中東
今年5月のイスラエル訪問時、現職大統領として初めて、ユダヤ教徒にとって神聖な「嘆きの壁」を訪れたトランプ大統領 (C)AFP=時事

 

 米トランプ大統領が、イスラエルの首都をエルサレムと認める演説を12月6日(日本時間7日未明)に行う予定である。イスラエルが「不可分で永久の首都」と主張するエルサレムは、パレスチナ側も東エルサレムを将来の独立国家の首都とすると主張してきており、現在のイスラエル・パレスチナ和平の交渉の基本枠組みである「二国家解決」が成り立つかどうかを分ける、重要な争点である。ここで米国がエルサレム首都承認を行えば、交渉の結果をあらかじめイスラエル側の要求を全面的に認める形で先取りしてしまうため、交渉を行うことがパレスチナ側にとってはかなり困難になる。

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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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